ドラッグストア32年のキャリアを持つ店長からあなたへ
ドラッグストア業界に身を置いて32年。これまで店長として、また150人以上の登録販売者試験んの合格者を送り出してきた社内教育担当として、毎日のように同じ質問を受けてきました。
「登録販売者って、結局、何なんですか?」
「薬剤師とは何が違うんですか?」
「医療事務職より大変じゃないですか?」
特に、30代で転職や復職を考えている女性からのこうした質問が本当に増えています。
不安な気持ち、よくわかります。私も最初は「薬の資格?難しそう…」と思っていましたから。
でも、32年この業界にいて、何人も人生を変えた人を見てきました。だから断言できます。
登録販売者は、AI時代のいま「一生モノの武器」になる、もっとも現実的な資格です。
この記事では、単なる資格紹介ではなく、現場のリアルなエピソードを交えながら、この資格の正体を紐解いていきます。「自分にもできるかな…」と迷っているあなたのための記事です。
1. 登録販売者の正体:市販薬の「約9割」を任される売り場の主役

登録販売者は、2009年の改正薬事法によって誕生した、一般用医薬品(市販薬)を販売するための専門資格です。
ほとんどの薬が扱える
市販薬はリスクに応じて3つに分類されています。
- 第一類医薬品:最もリスクが高い(ロキソニンなど)→ 薬剤師のみ販売可
- 第二類医薬品:中程度のリスク(風邪薬、鎮痛剤など)→ 登録販売者も販売可
- 第三類医薬品:リスクが低い(ビタミン剤、整腸剤など)→ 登録販売者も販売可
この『第二類・第三類』は、実は市販薬の90%以上を占めています。
店舗の要(かなめ):登録販売者の本当の価値
私のような店長の視点から率直に言いますが。
登録販売者がいるかいないかで、店舗運営が劇的に変わります。
薬剤師は人数も限られていますし、時給も高い。毎日全ての時間帯にいるわけではありません。でも登録販売者なら、市販薬の大半を販売できるので、午前中の忙しい時間帯もお客さんの「どのかぜ薬がいいの?」という質問に答えることができます。
つまり、「お店を回すために欠かすことができない最強の戦力」なんです。
2. 薬剤師との違いは?「AT限定免許」に例えると一目瞭然

よく聞かれます。「薬剤師の下位互換?」「薬剤師の方が上?」
正直に言いますと、その質問そのものが少し違います。
役割が明確に違うからです。
わかりやすい例え
薬剤師を「すべての車に乗れるMT(マニュアル)免許」だとするなら、登録販売者は「日常で最も使う普通車(市販薬)に特化したAT(オートマ)限定免許」のようなイメージです。
- 薬剤師:処方箋に基づいて薬を調合したり、複雑な相互作用を判断したり、医学的に難しい案件に対応する
- 登録販売者:「風邪引いてるんですけど、どの薬がいい?」というお客さんの相談に応じて、ぴったりの市販薬を提案する
目指しやすさの圧倒的な差
薬剤師になるには、大学に6年通う必要があります。その後、国家試験。時間も費用も相当かかります。
でも登録販売者は違います。
- 学歴不問:高卒でも大卒でも関係なし
- 年齢不問:40代、50代で受験する人も珍しくない
- 経験不問:ドラッグストアで働いたことがなくても大丈夫
- 学習期間:3〜6ヶ月で合格を目指せる
「育児を終えた45歳の主婦が3ヶ月で合格した」なんて人も実際に社内のパートさんにいます。
3. 医療事務との違い「調剤薬局の顔」か「接客のプロ」か
同じ薬に携わる仕事として医療事務と比較されることがあります。
正直な比較をします。
医療事務の仕事
- 受付で患者さんを迎える
- 処方箋を確認して料金計算
- レセプト(保険請求)を作成
- 電話対応
「でも、薬に関するアドバイスはできません。」
かぜ薬の質問を受けても、「薬剤師さんに聞いてください」と言うしかない。その点で仕事の責任が限定的です。
登録販売者の仕事
一方、登録販売者は違います。
「すみません、頭が痛いんですけど…」
そう言われたら、こちらから質問を重ねます。
「いつからですか?」「どんな風に痛みますか?」「頭痛だけですか?それとも熱っぽい感じもします?」「胃は大丈夫ですか?」
お客さんの話を聞きながら、5〜6種類の鎮痛剤の中から「あなたに一番おすすめなのはこれです」と提案する。
つまり、カウンセリング販売がメインの仕事です。
事務職より難易度は上がりますが、その分、やりがいも全く違う。後日お客さんから「先日はありがとうございました、お薬よく効きました」と言われた時の達成感は他の仕事ではでは絶対に味わえません。
また、待遇面でも。事務職では資格手当がつかないことがほとんどですが、登録販売者には月5,000円〜2万円程度の資格手当がつきます。給与という形で、その価値が認められるわけです。

4. ベテラン店長が教える「現場のリアルなあるある」エピソード集
資格を取ると、こんな日常が待っています。実際に私や周りの登録販売者から聞いた話です。
あるある① 「薬剤師さんですか?」と毎日聞かれる
これが第1位です。本当に毎日です。
白衣のようなユニフォームを着ているから、お客さんから見ると「薬のプロ」に見えるらしい。正確には「登録販売者です」と答えるんですが、「とうろく・・・?」という感じで、その後は薬剤師と同じように相談されます。
私の店舗の新人社員が、70代のおばあさんから「若いのに難しい資格を取られたんですね」と褒めら、その言葉で仕事のやりがいを実感したと言ってました。
「社会に必要とされている感」が実感できる仕事です。
あるある② 薬の成分表が気になってしかたない
これも典型的。
買い物に行ってスーパーの医薬品コーナーに寄ると、つい商品の裏側を見ちゃう。「あ、この成分、うちの店のPB商品と同じ配合だ」なんて比較を始める。
家族が処方箋でもらってきた薬についても、「この成分は…」と調べずにはいられない。気づいたら「薬オタク」になってます。
正直、これは職業病です。でも、そのくらい仕事に没頭できるって、実は素晴らしいことだと思います。
あるある③ 「お母さん、この薬は?」と家族から頼られるように
資格を取ると、家族からの信頼も変わります。
「子どもが風邪ぎみなんだけど、何を飲ませたらいい?」
「お父さんの花粉症はどの薬がいい?」
お母さんが医学知識を持つようになると、家族の健康管理のレベルが上がる。これは、働く女性にとって意外と大きなメリットです。
実際、「家族の健康のために取った」という女性の合格者も多いんです。
あるある④ 商品知識が増えると、お店での提案の質が変わる
接客をしていると、自然と商品知識が深まります。
「この風邪薬とあの風邪薬、何が違うんですか?」と聞かれた時に、単に「こっちの方が早く効きます」ではなく、「この薬は麻黄という成分が入ってるので、エネルギッシュに動きたい時向き。一方、こっちは優しく効くタイプで、寝る前に飲むのに向いてます」と説明できるようになる。
こういう説明ができると、お客さんの満足度が格段に上がります。
あるある⑤ 相談が多くて、レジが進まない日も
正直に言うと、接客に時間がかかることもあります。
20代の女性が来店して、「生理痛がひどいんですけど…」という相談から始まると、その方の生活習慣、今までどんな薬を試したか、食事の工夫まで含めて、15分くらい相談に乗ることもあります。
その結果、レジが行列になることもあるし、売り場の手直しの時間が削られることもあります。それは確かに大変な側面です。
でも、その相談が終わったお客さんが「ありがとう。この薬、試してみます」と言った時の充足感は、単純に販売数を増やすよりも遥かに大きいんです。
あるある⑥ 実は薬以外の仕事も多い
これは現実的な話です。
ずっと相談に乗っているわけではなく、実際には:
- レジ打ち
- 重い商品の品出し(飲料や洗剤のケースなど)
- 売場の手直し
- 在庫管理
- 掃除
など、立ち仕事や長く体力が必要な業務も多いです。特に人員が少ない時間帯は、自分が接客も品出しも両方やることになります。
ドラッグストアは、意外と肉体労働の側面があるんです。
「楽な仕事」を期待していると、ギャップを感じるかもしれません。その点は正直に言いたい。
でも、「様々な業務を通じて、幅広いスキルが身につく」と考えると、キャリア形成の観点では非常に価値がある経験なんです。

あるある⑦ お客さんとの関係が仕事の質を左右する
これは薬の知識以上に大切なことです。
同じ薬を提案しても、相手が信頼してくれているかどうかで、効果が変わることもある。不思議なものです。
ご年配のお客さんが「いつもあなたに相談してるから安心」と言ってくれると、その言葉がモチベーションになる。あるベテランの登録販売者は、20年同じお店にいるので、「あ、この人はこの薬が合う」という経験知が蓄積されてるそうです。
その経験知は資格試験には出ない。でも、実務では最強の武器になるんです。
5. なぜ、いま登録販売者なのか?
育児や転勤の「壁」を超える資格
昨年、うちの店で一度退職した40代の女性が戻ってきました。
理由は「資格があるから、どこでも働けるから」
ご主人の転勤で3年間別の県にいたんですが、帰ってきた時に「登録販売者の資格があるから、どこでも仕事が見つかる」と自信を持って復帰できたんです。
資格がないとそうはいきません。転勤先で新しく仕事を探すとなると、一からの出発になることがほとんどです。
でも、登録販売者なら全国どこでも「あ、この資格があれば大丈夫」と思える。
これは、特に女性にとって人生設計の上で非常に大きなメリットです。
有効期限がない、ずっと使える資格
他の資格だと「5年ごとに更新」みたいなものが多いです。
でも登録販売者は(現時点では)資格を取ったらずっと有効です。
つまり、「育児で数年休んでまた働く」みたいなライフステージの変化にも対応できるんです。
6. 教育担当からのまとめ

登録販売者は、薬剤師ほどハードルが高すぎず、医療事務よりも専門性が評価される、キャリア形成に最も「コスパが良い」資格です。
一度取得すれば資格に有効期限はなく、全国どこでも働けるため、育児後の復職や配偶者の転勤にも柔軟に対応できます。
ドラッグストアの現場で、私が何度も見た光景があります。
一般パートから登録販売者になった女性が、初めてお客さんから「ありがとうございました」と言われた時、目に涙が浮かんでいました。
その後、その女性は見る見る自信がついて、やがて正社員になり店舗の重要な仕事を任されています。
「こんなに変わるんだ」と、私は何度その瞬間を見てきたか…
「自分にもできるかな…」と迷っているなら、その迷いは当然です。
でも、迷っているということは、すでに一歩動き出す準備ができているということだと思うんです。
毎年たくさんの方が登録販売者試験にチャレンジし合格しています。
SNSなどで勉強をしている方を見かけるときっと「あ、自分にもできそう」という実感が湧くと思います。
【読者へのメッセージ】
32年この業界にいて、登録販売者資格で人生を変えた人を何人も見てきました。
キャリアに迷っていた30代女性が、自信を取り戻したり。
子育てが一段落した人が、社会復帰の入口を見つけたり。
やりがいを求めていた人が、お客さんとの関係の中でそれを見つけたり。
あなたも、自分と家族を守る「一生モノの知識」を手に入れてみませんか?