登録販売者試験の勉強を始めようと思います、テキスト・問題集があれば良いですか?
私は2016年から地方のドラックストアチェーンで登録販売者試験の受験指導を行っています。
その関係で、独学で登録販売者試験の勉強を始める方から良く試験勉強について質問を受けます。
独学で勉強をする場合は、市販のテキストや過去問集などを購入して勉強を始めることが多いと思いますが。
できればテキストにプラスして、登録販売者試験で最も重要とされる「試験問題作成の手引」も手元においていたほうが効率よく勉強を進められます。
「試験問題作成の手引」(通称手引)とは、厚生労働省が登録販売者試験の問題を作成する人向けに公開しているガイドラインです。
試験を作る人のためのものですよね?僕には関係ないかなぁ
そう思うのも無理ありませんが、登録販売者試験の全ての内容は手引の中から出題されると聞けば、その重要性が理解できると思います。
今回の記事では「手引」こと「試験問題作成に関する手引」がなぜ重要か、どのように勉強に役立たら良いか、具体的に説明します。
重要度No1!試験問題は「試験問題作成に関する手引」から出題される
手引ですか?聞いたことがないのですが…
始めて登録販売者試験の勉強をする方には耳なじみがないかもしれません。
「手引」とは厚生労働省が作成した「試験問題作成に関する手引」のことをいいます。
手引がなぜ重要かというと
登録販売者試験の問題は「手引」から出題されるからです!
「試験問題作成に関する手引」は厚生労働省のサイトで公開されていて、誰でも無料でダウンロードできます。
試験問題が公開されているということですか?
試験にでる内容が公開されていると言ったイメージです。
「手引」は厚生労働省が試験問題を作成する人に「この資料使って試験問題を作成してください」と示しているガイドラインです。
試験にでる内容が公開されているのに、受験者の中にはこの「手引」の存在を最後まで知らないまま試験勉強を行い、結果的に不合格になってしまう人もいます。
- 手引は厚生労働省が試験作成者向けに作成したもの。
- 登録販売者試験の問題は手引から出題される。
- 手引は無料でダウンロードできる。
「手引」をすべて覚えたら合格できる?
つまり、手引をすべて覚えてしまえば合格できると?
理屈はそうですが、手引は約400ページもあり挿絵や図解などもほぼありません、また独特な言い回しの専門用語や法律用語がたくさん含まれるので、初心者が読んで理解できるようには作られていません。
いよいよ試験に受かる気がしないのですが…
安心してください、400ページもある手引ですが試験問題はその中から120問しか出ません。
そして120問出題される内容も、毎年何度も出題されている内容と、ほぼ出題されたことがない内容に偏っています。
つまり、登録販売者試験は手引の中の最頻出箇所をシッカリ覚えればかなりの確率で合格できます。
手引は100%覚えることはできないし、する必要もありません。
- 手引は初心者が読んで理解できるようには作られていない。
- 毎年出題される内容はほぼ決まっている。
- 手引は100%覚えなくて良い。
試験で使われる用語や名称も全て「手引」に準ずる
手引や専用のテキスト以外をつかって勉強していると、用語や名称で混乱してしまう場合があるので注意が必要です。
例えば、『乳児』という言葉は、一般的にはいろいろな年齢や定義を含んで使われますが、登録販売者試験では「生後4週間以上、1歳未満」を『乳児』と手引での中で定義しています。
他に、一般名称として重曹・炭酸・ソーダ(炭酸ソーダ)・ふくらし粉と複数の呼び方があるようなものも、登録販売者試験の場合は手引で『炭酸水素ナトリウム』の成分名で統一されています。
成分名の場合、時代によって名称が変わってしまう場合がるので注意が必要です。最新の手引で『クロルフェニラミンマレイン酸塩』となっている成分は、少し前まで「マレイン酸クロルフェニラミン」と呼ばれていました。
うちの店長は今でも古い名称で呼んでます。
このように登録販売者試験では、言葉の定義や成分名もすべて「手引」の内容で統一されています。
ネットの記事や登録販売者試験以外の資料を参考にして勉強をする場合は注意してください。
登録販売者試験では手引に記載されている内容が全てとなります。
- 用語や名称は手引が全て。
- 登録販売者試験以外の資料を使うときは注意すること。
テキストは手引をわかりやすくしたもの
手引が全てなら市販のテキストってなんですか?
登録販売者試験のテキストは、手引の内容をわかりやすく説明したものです。
手引は約400ページもあり挿絵や図解などもなく、初心者が読んで理解できるようには作られていません。
市販のテキストでは、手引に記載されている内容をわかりやすい言葉や言い回しにし、イラストや図などを追加して、初めて登録販売者試験の勉強を始める人が読んでも理解できるように作成されています。
また、テキストは手引の中から毎年試験問題として出題されるような、出題頻度の高い内容を重点的に解説しています。
テキストっていっぱいありますけと…
現在、書店やネット通販で一般に手に入るようなテキストで、買って大失敗したと思うような内容の本はありません。
それよりも、自分の見やすい・わかりやすいなど勉強スタイルにあったものを選ぶことが重要です。
- 手引は試験作成者向けに作られた資料。
- テキストは受験者向けに、わかりやすい言葉やイラスト・図などで手引の内容を説明したもの。
- テキストは手引の中から試験によく出題される部分を抜き出してある。
手引の内容は定期的に改正されます
成分の呼び方が変わるなら、手引が新しくなるってことですか?
手引の内容は、各種法律などに合わせて定期的に改正されま。
令和6年の本年度も4月10
日に手引の改正がありました、これは令和4年3月・令和5年4月と3年連続で手引きの改正となります。
登録販売者試験では手引の改正があると非常に話題になります、なぜなら。
手引が改正されると試験の出題内容が変更になるからです。
手引の記述が変わるのですから、当然テキストや問題集などもそれに対応した新しいものが、改正のたびに出版されます。
しかし、テキストや問題集などは改正が行われてからその内容に合わせて出版されるので、最新の手引に対応したものが出版されるのは、早くても6~7月になります。
えっ!それまで勉強ができないのですか?
そんな事はありません、どれほど改正箇所が多くても毎年の頻出問題はほとんど変わらず出題されます。
手引が改正されてもシッカリと過去問を勉強していれば大丈夫です!
逆に、頻出問題の部分が改正になればそこがかならず出題されます、直前で改正箇所を確認して「なるほど、こう変更されたんだな」と理解したほうが正答できるはずです。
- 手引は定期的に改正される。
- 改正が反映されたテキストを待っていると勉強が間に合わない。
- 頻出問題は同じなのでシッカリと過去問を勉強する、改正箇所は直前で対応するれば十分。
市販のテキストがあれば手引はいらないのでは?
市販のテキストがあれば手引は必要ないのでは?
確かにその通りで、市販のテキストだけで十分試験に合格できます。
しかし、過去問に取り組むぐらいまで勉強が進んでくると、市販のテキストでは、思ったより記載されていない内容が多いと思うようになります。
テキストに載っていない内容があるのですか!
市販のテキストは手引の内容をわかりやすく丁寧に説明したものです。
もし400ページ以上ある手引の全てを丁寧に説明してしまうと、2,000ページを超えるようなテキストになってしまうかもしれません。
そうならないように、市販のテキストは試験で出題されやすい内容や頻出問題を優先的に記載してあります。結果的に出題頻度が低い内容については記載されないケースがあります。
手持ちのテキストに載っていない場合はネットなどで調べることになりますが、知りたい内容がなかなか見つからず、時間ばかりかかってしまいます。
一方手引には、登録販売者試験の全てが記載されれいるはずです。
自分のテキストに調べたい内容が載っていない場合は、ネットなどをよりも手引を調べるほうが効率的です。
「手引」を使った勉強方法
手引きは厚生労働省のサイトよりPDF形式で無料でダウンロードできますが、約400ページもあるため印刷をして持ち運んだり、勉強のために読み通せるものではありません。
それでは調べるのにも時間がかかるのでは?
そこでPDFファイルをパソコンやスマホで検索する方法があります、詳しい検索方法は以下の動画を参考にしてください。
お友達のYouTuberたまごさんが、手引の調べたい言葉の検索方法を具体的に解説しています。
この方法を使えば、自分の持っているテキストに載ってない内容でも、簡単に手引で調べることができます。
ネットで検索はダメですか?
ダメではありませんが、ネットで検索すると登録販売者試験とは関係ない内容まで大量にヒットしてしまいます。
また、誤答の設問についてはどれだけネットを検索しても情報が得られません。
一方、手引なら検索してヒットするものは登録販売者試験に関係がある内容です、もしヒットしないなら「手引に載っていないならこれは間違いの設問だ」と判断できます。
- ダウンロードした手引は印刷はしない。
- 手引のPDFファイルをは検索機能を使う。
- ネットの検索は登録販売者試験と関係ないことがヒットし過ぎる。
まとめ「手引」がすべて
今回は手引の重要性について紹介しました。
- 試験問題は手引から出題される。
- 手引は無料でダウンロードできる。
- 手引のすべてを覚える必要はない。
- テキストは手引をわかりやすくしたもの。
- 「手引」は検索して使う。
- 用語や名称も全て「手引」通り。
- 手引は改正されるが心配しない。
登録販売者試験の問題は手引に載っていることがすべてです。
実は令和4年の改正でこれまで「これって手引間違ってない?」という部分が直されました。
それでも、もしそこが試験問題で出題されたらその間違った手引の内容を選択しないと正答ではありません。
それほど手引の内容は絶対なのです、だから必ず「手引」は手元に置きいつでも検索できるようにしておいたほうが良いです。
結局いちばん最後に頼りになるのは「手引」になるはずです。