ネットなどで登録販売者試験の勉強方法を調べると「短期間で合格した!」という情報がたくさん見つかります。
実際に、受験者のみなさんが知りたいのは短期間で楽に合格する方法なのでしょう。
ですから、SNSなどで受験者から登録販売者試験の勉強方法の回答として。
『登録販売者試験の勉強は半年~1年、テキストや手引をしっかり読んで理解したら合格できます』と正論を言ったところで
『そんならオマエはいらんやんw』と返されるのがオチでしょう。
私は2016年から地方のドラックストアで登録販売者試験の講師を担当しています。
残念ながら、だれでも短期間に楽して合格する方法はありません。
しかし、私が社内で勉強をしている人や、SNSで受験者から相談を受ける内容によっては「もっとこうしたら簡単にできるのに」「どうしてそんなに難しい方い方法で勉強しているの?」と思うことがあります。
そこで、今回はこれまでたくさんの社員やSNSのフォロワーさんを指導した経験から、なるべく多くの人で再現性が高い、短期間で合格できるような勉強方法を本気で考えました。
本気で考えたのですが、この勉強方法では「楽して」登録販売者試験に合格するまでは行かないかもしれません。
この勉強方法は。
- 手を抜いたり、楽をして合格したいわけではないが勉強が苦手。
- 家事や育児、介護や仕事などで自分の自由になる時間がない。
- 将来の自分のために絶対に登録販売者試験に合格したい。
そんな人のために、苦労は必要最低限だけにして、最短距離で登録販売者試験に合格する方法となります。
できるだけ短い期間で効率よく勉強するコツは、いかに『調べ物』の時間を少なくするかにかかってくると思います。
では、最短距離の勉強方法をご紹介しましょう。
テキストはじっくり読まない
SNSなどを見ていると「今テキスト◯周め、がんばって読み込むぞ」とか「あと◯回読んだら過去問を解くぞ」といった内容を見かけることがあります。
しかし、私個人としてはテキストを始めから最後まで何度も読んだり、じっくり読むことはおすすめしません。
このようにテキストを読むのは、非常に効率が悪いと考えるからです。
私が考える効率が悪い理由としては。
- テキストを何周読んでも、全部の内容を覚えられない。
- テキストを全部覚えても、出題されるのはホンの一部でしかない。
- 試験で毎年出題される内容は決まっている。
- 意外とテキストを読まなくても正答できる問題もある。
あたりまえかもしれませんが、テキストを何周も読んでも全ての内容を覚えることは難しいです。
もし、内容を全て覚えられたとしても、試験で出題されるの内容はテキストの中のほんの一部だけです。
出題される内容も、毎年同じようなものが繰り返し出題されています。
そもそも、テキストを読まなくても正答できる問題も意外とあります。
ですから、短期間で効率よく勉強をしたいと考えているのであれば、テキストは始めから最後まで何度も・じっくり読むのは時間がもったいないです。
テキストで読まなくてはならないのは、試験で毎年出題される内容や、自分が苦手で何度も間違えてしものをになります。
短期間で合格するためのテキストの読み方
では、テキストはどのように読むのですか?
短期間で効率よく登録販売者試験に合格したい場合、テキストは始めに全体をザックリと目を通すように読みます。
このときは内容を覚えたり理解しようとせず、登録販売者試験の雰囲気や用語を把握するイメージです。
期間的には1週間以内で読み終わるペースで十分です。
読み終えたあとはすぐに過去問を解き始めます。
それでは1問も正解できないと思うのですが…
意外とそうでもありません。
登録販売者試験の問題は、一般常識の範囲や文脈から予想できる内容で答えても、そこそこ正答を選ぶことができます。
人によっては、初めて過去問を解いても60点近い点数をとる人もいます。
時間がない中で勉強するなら、すでに正答できる内容までテキストをじっくり読む必要はありません。
テキストでしっかりと読まなくてはならないのは、登録販売者試験の問題で「まだ自分が知らない内容」の部分だけで良いはずです。
「自分の知らない内容」なんて、どうやったらわかるのですか?
自分が知らない内容とは、過去問を解いて答えられなかったり曖昧だったりした問題になります。
ですから、テキストはザックリと目を通す程度にして、なるべく早い段階で過去問を解き始めるようにします。
過去問を解いて「間違えた問題=自分が知らない内容」をたくさん見つけ出して、その部分を優先的に勉強していくことが短い期間で効率よく合格するコツです。
カンで答えて50点取れても意味ないのでは?
本番の試験ではカンも実力のうちに入ります、とくに2択まで絞って最後にカンで選ぶ場合などは、そこに絞り込むまでの実力はあるはずです。
ここで理解していただきたいのは、登録販売者試験の問題には、これまでの人生経験や学校の勉強で正答できるものがかなりあるということです。
すでに自分が知っていてる内容までゼロベースで勉強する必要はありません。
自分の知らない内容だけに絞って勉強するのが、短期間で効率よく合格するコツです。
勉強は過去問を解くことをメインにする
登録販売者の試験範囲は非常に広く、何もかも覚えていてはとても合格に近づくことはできません。
過去問を解くことで、本当に合格するための知識を優先的に覚え事ができます。
過去問は繰り返し解く
過去問を解くことが、試験に合格するための一番効率的な勉強方法となります。
過去問を通じて「よく出題される問題」と「あまり出題されない問題」を把握できます。
例えば、3章では生薬や漢方薬、医薬品の成分名など多くの用語が出てきますが、これらも「よく出題されるもの」と「あまり出題されないもの」があります。
試験範囲のすべてを暗記することは難しいため、何度も過去問を解いて、よく出題される問題から優先的に覚えていくことが重要です。
よく出る問題なのに何度も間違える場合は、解説などを読んでしっかりと理解し、覚えましょう。
試験の出題傾向を把握する
登録販売者試験の問題は都道府県ごとに(ブロックごとに)作成されます。そのため、試験問題の出題傾向は都道府県ごとに異なります。最低でも、自分が受験する場所の過去問を3年分は解いておきましょう。
試験日が比較的遅い地域は、同年の先に試験が行われた都道府県の最新の問題を解いておくことで、その年の試験問題の出題傾向を把握できます。
最新の試験問題は、早い地域で試験日から1週間程度で公式ウェブサイトにアップされます。
YouTubeなどでも、試験後に最新の解説動画がアップされることもありますので、それらを活用してその年のトレンドを把握できましょう。
満点を取るような勉強はしない
登録販売者試験の問題は前半60問・後半60問の合計120問出題されます。
過去問の勉強をしていると、どうしても完璧を求めて120問中120点を目指すような勉強になってしまう人がいます。
しかしそのように勉強していると、自分が納得できる点数がなかなかとれず、いつまでたっても勉強が前に進まない状態になってしまいます。
最悪の場合、試験日が近づいても全く手つかずの範囲が残ってしまいます。
合格のための現実的で具体的な目標点数を持つ
登録販売者試験の合格点は120問中7割以上の84点です。
さらに、足切りラインとして各章ごとの正答率が3.5~4割以上でなくてはなりません。
逆にいうと、合格点は120問中84点ですから、36問も間違えても良いわけです。
ですから120点満点を取るようなつもりで勉強する必要はありません。
さすがに84点を目標に勉強をしていると合格点スレスレになってしまいます。
そこで、各章8割を正答することを目標に現実的で具体的な目標点を作ると良いでしょう。
現実的で具体的な各章の目標点数は以下の通りです。
章 | 目標点数 |
1章 | 19点 |
2章 | 16点 |
3章 | 26点 |
4章 | 16点 |
5章 | 16点 |
合計 | 93点 |
どうでしょう?各章ごとに見るとそれほど点数が取れていないように思えますが、これでも合計すると93点で余裕の合格です。
このぐらいの点数なら、なんとか取れるような気がしますよね。
3章26点でいいと思うと気持ちが楽になります。
各章についても、現実的で具体的な目標点を作らずに勉強してしまうと、たとえば3章40問を30点台後半の点数を取れるよう勉強してしまうため、最悪、途中で勉強をあきらめてしまう人もいます。
登録販売者試験を合格するためには、3章でそこまでの点数はいりません。
実際に私が指導している受験者の自己採点では、下の表ぐらいの点数で合格する人がほとんどです。
章 | 目標点数 |
1章 | 19点 |
2章 | 14点 |
3章 | 26点 |
4章 | 14点 |
5章 | 14点 |
合計 | 87点 |
おお、これなら取れそうな気がする。
合格の目標点数を持って勉強をしていないと、『正答できたか・できなかったか』だけが勉強の指標となってしまいます。
結果として、どこまでやっても勉強ができたと思えないためモチベーションの維持が難しくなります。
説明したように、始めから合格のための具体的な目標を持ち、その点数に近づけるように勉強するほうが現実的です。
まずは2択までしぼれる問題をたくさん作る
2択まではしぼれるのですが、確実に正答と思える問題が少なくて…
2択までしぼれるのであれば大丈夫です、あとは過去問を解く回数が解決してくれます。
先にも書きましたが、2択までしぼれるだけでも十分実力が付いてきています。
勉強を始めたばかりの段階では、解答欄の中から2択まで絞れる問題をたくさん作るように意識しましす。
なぜなら、過去問を何度も解いていると、頻出問題の内容ほど回数多く出会うことになります。
結果、2択まで絞れるたくさんの問題から自然と頻出問題ほど正答の1択を選べるようになります。
逆に、いつまでも2択のままの問題はそれほど頻出度が高い問題ではないといえます。
頻出度が低い問題は勉強の余裕がないなら、あえて2択までしぼれる程度にしておいて良いかもしれません。
登録販売者試験では、10個の完璧に1択までしぼれる問題を作るよりも、40個のなんとなく2択までしぼれる問題を作ったほう合格率は上がります。
試験で10個の完璧に答えられる問題が全く出題されないということはよくあります。
それより、なんとなく2択まで絞れる40個の問題のうち20個が出題され、正答できる確率のほうが上がるになるからです。
また、むずかしい問題やイジワルな問題、めったに出ないような問題などは、正答できなくても良いと割り切ることも必要になります。
短期間で効率よく合格するためには、2択までしぼれる問題をたくさん作るように勉強をしてください。
合格点スレスレで実務は大丈夫なの?
合格点スレスレで受かったとしても、実務で知識が足りなくて困るのでは?
結論からいうと大丈夫です。
薬を安全に販売するために絶対に知らないとならない知識は、合格点スレスレでも担保されるように試験問題は作られています。
それに、店頭でお客様からご相談を受けるための知識と、手引に載っている内容ではかならずしも一致しません。
たとえていえば、手引の内容は運転免許試験の交通教本のようなものです。
交通教本の内容を完璧に暗記して筆記試験で満点合格しても、実際の交通の流れの中で上手に運転出来るわけではありません。
上手に運転するには、合格点スレスレでも少しでも早く運転免許証を取得して、実際の交通ルールの中でたくさんの経験を積むことのほうが重要です。
登録販売者も同じように、合格点スレスレでも少しでも早く登録販売者の資格を取得し、実際の店頭で業務経験を積むことのほうが重要です。
登録販売者は、試験に合格しても店頭でわからないことや困ったことがあるたびに自分で勉強することが継続していきます。
試験に合格して店頭に立ってから、初めて登録販売者の本当の勉強が始まります。
『調べ物』の時間を少なくする
なるべく手を抜いたり、楽をして合格したいという人は別ですが。
家事や育児、介護や仕事などで、自分の自由になる時間がほとんどない。
時間がない中でも、将来の自分のために登録販売者試験に合格したい。
できるだけ短い期間で効率よく勉強をしたい。
そんな人に短期間の勉強で登録販売者試験に合格する方法を伝授します。
そのコツは、いかに『調べ物』の時間を少なくするかにあります。
学校のような勉強方法は資格試験合格にはむかない
勉強といえば、学生の頃から以下のような方法で勉強をしてきたと思います。
- しっかりとテキストや教科書を読み込んで理解する。
- 問題を解いて、間違えた部分をテキストやネットで『調べ物』をし、正しい答えを見つけて覚える。
もちろん、十分に時間の余裕があるのであれば、このような正攻法の勉強方法でも良いと思います。
その方がしっかりと理解し広い知識が身に付くはずです。
しかし、社会人が資格試験に合格するためにはむいていません。
あまりにも時間がかかるからです。
正攻法で登録販売者試験に合格するためには、最低でも半年、できれば1年近い勉強期間が必要になります。
主婦や社会人など、勉強時間の確保が難しい人が学校のように勉強を行うと、なかなか勉強が進みません。
最悪、試験日までに全ての範囲の勉強が終わらなかったり、モチベーションが続かず途中で勉強を挫折したりする人が出てきます。
勉強時間がかかる原因は『調べ物』
学校のような正攻法の勉強で時間がかかる原因は『調べ物』にあります。
正攻法の勉強を行う場合、まず1ヶ月以上時間をかけてテキストを読み込みます。
人によっては自分なりのノートを作りながらテキストを読むかもしれません。
この段階でかなりの時間がかかります。
テキストを読み終えたあと過去問を解き始めるわけですが、各都道府県のサイトから無料でダウンロード出来る過去問を使って勉強すると、ダウンロードできる解答には問題の正誤しか記載されていません。
間違えた問題の正しい理由や、なぜ間違えたのか?といった原因をテキストやネットを使って調べる事になります。
すぐに正しい答えの理由や間違えた原因が見つかれば良いのですが、始めのうちはなかなか見つけることができず、時間ばかりかかってしまいます。
問題によっては1問調べるだけで30分以上も時間がかかります。
また、ネットを使って調べ物をすると、登録販売者試験に関係ない内容まで検索結果に表示され、逆に時間がかかることもあります。
問題によっては『誤り』の原因が存在しない成分名だったり、架空の行政機関だったりすると、テキストにもネットにも載っていないため、延々と調べ続けることもあります。
調べ物は時間がかかるばかりか、肉体的にも精神的にも頭脳的にもヘトヘトに疲れてしまい勉強のモチベーションを下げてしまします。
テキストの種類:網羅型 vs 抽出型のメリットとデメリット
勉強をしていてると、自分が使っているテキストに調べたい内容が載っていないことがあります。
せっかく時間かけて調べた内容がテキストに載っていないと、一気にテキストへの信頼感を失います。
なぜテキストに載っていないのか?これは使っているテキストの種類に原因があり、そこはメリットもデメリットもあります。
テキストの種類:網羅型 ・ 抽出型
テキストには大きく分けて『網羅型』と『抽出型』があります。
網羅型
網羅型のテキストは、手引の内容をなるべく全て記載するように作られています。
メリット | 基本的に手引の内容が全て記載されているので、時間をかけて探せば調べたい内容を見つけることができます |
デメリット | 記載されている内容が多すぎて、索引などがしっかりしていないと調べるのに時間がかかります。 |
網羅型のテキストは、過去問を解いていてわからないことが全て載っている安心感があるため、ストレスなく勉強を続けられます。
抽出型
抽出型のテキストは、手引の内容から試験の出題頻度や重要度の高い内容に的をしぼって記載されています。
メリット | 出題要点をしぼってあり、難しい内容も親しいみやすい言葉やイラスト・図などを豊富に使いわかりやすく解説してあります。 |
デメリット | 頻出度や重要度が低い内容は記載されない場合があります。 |
抽出型のテキストは、勉強が苦手な人でも理解しやすいように作られています。
勉強初心者ならおすすめは『網羅型』のテキスト
勉強初心者や勉強がニガテな人は『網羅型』のテキストがおすすめになります。
なぜなら、登録販売者試験の勉強をしていてわからないことは、基本そのテキストで完結できるからです。
一方『抽出型』のテキストは、イラストや図などもたくさん使わているため、勉強が苦手な人にもわかりやすく解説されています。
やっぱり抽出型の方が良いじゃんないですか?
ただし、それは記載されている内容に限ってのことです。
抽出型のテキストで問題なのは、時間をかけてテキストを探しても調べたい内容がテキストには載っていないということがあることです。
実際には抽出型のテキストの内容だけで十分合格点は取れるはずでし、抽出型のテキストに記載されていない内容は試験に出題されない可能性が高いといえます。
しかし勉強を始めたばかりの受験者にはそんなことはわかりません。
本来なら、抽出型のテキストに載っていない&ネットで探してもなかなか見つからない内容は、知らなくても合格にはあまり影響がないと判断できます。
しかし、実際に私が指導してきた受験者達を見ていると、勉強がニガテな人ほどその判断ができません。
そのような人が抽出型のテキストを使って勉強すると、過去問を120問解いたら120問を全て同じように調べ・覚えようとしてしまいます。
結果、抽出型のテキストに記載されていような、出題頻度の低い内容をいつまでも探してしまい、時間をムダに使ってしまいます。
特に私が問題に感じるのは、勉強をしていて何度かテキストに載っていないことがあると、テキストへの不信感から勉強自体のモチベーション自体維持できなくなることです。
登録販売者試験の勉強に、意外なところでつまづく原因になります。
テキストに載っていないかも…と思いながら調べるのは気が重いですね。
その点、網羅型のテキストなら基本的に記載されていない内容はありません。
過去問を120問解いて120問を調べたければテキストにほぼ載っています。
もし網羅型のテキストの言い回しが難しかったり、表やイラストが少なくわかりにくいと感じたら、その部分だけネットなどを補助的に使って調べれば良いと思います。
裏技的ですが、その時は調べたいキーワードで画像検索するのがおすすめです。
確かに網羅型のテキストはページ数も多いので、テキストの自体を調べるのが大変な場合もありますが、索引が非常に優秀で調べやすいテキストも出ています。
なによりも、手元の『テキストに載ってい内容はない』と安心できるので、勉強のモチベーションも維持・継続しやすくなります。
勉強にあまり自身がない人こそ『網羅型』のテキストをおすすめします。
勉強時間は『正しい答えを覚える』ことに全振りする
正攻法の勉強では調べ物に時間がかかってしまう事を説明してきました。
意識してほしいのは、勉強の目的は『調べ物』ではないと言うことです。
勉強の目的は『正しい答えを覚える』ことです。
ですから、時間があまり取れない人や、短期間で合格したい人は『調べ物』に取られる時間を少なくし『正しい答えを覚える』事に時間を全振りするように意識してください。
それが、途中で挫折することなく最短コースで試験に合格すコツになります。
短期間で合格するためのおすすめ過去問集・テキスト
私の行っている勉強会では指定のテキストや過去問集はありません。
社会人の勉強会ですから、経歴や年齢、勉強への理解度もバラバラなので、自分に合った物を使ってもらうのが一番だと考えるからです。
ただ、何年か勉強会してきたことで、先輩社員や合格者から評判の良いテキストや過去問集が決まってきています。
また、勉強がニガテな人ほど自分で使いやすいテキストを選ぶことができない場合もあります。
ここでは、私の勉強会で実際に一番使われている過去問集とテキストを紹介します。
勉強会で使用している:おすすめの過去問集
過去問集?過去問はネットから無料でダウンロードできるのでは?
私達も以前はそうしていました。
しかし、実際には印刷費用がかなりかかること、解答が正誤しかなく「なぜ正しいのか?」を調べるのにとても時間がかってしまうことなどから、現在は詳しい解説の付いた過去問集を使って勉強をしています。
現在おすすめはKADOKAWAより出版されている「これで完成! 登録販売者 全国過去問題集 2024年度版」です。
この過去問集のおすすめポイントは、解説部分ちょっとしたテキスト並みにくわしく記載されていることです。
解説の付いている過去問集、手引の内容をコピペしたようなものや、難しい文章で解説がされている(解説の解説が必要なものも…)あります。
しかし、KADOKAWAの過去問集の解説部分は、わかりやすい言葉や言い回し、必要であればイラストや図まで使って解説してあります。
この過去問集は企画段階で「よっぽどの事がない限りテキストを調べなくて良い」を目指して作成されたそうです。
まさに、時間がなくていちいちテキストを調べていられない人にピッタリの過去問集です。
勉強会で使用している:おすすめのテキスト
私の勉強会では主軸に解説が詳しく載っている過去問集を使うので、テキストはその解説でわからない場合のみ辞書のように使います。
辞書の用に使用する場合のテキストは、手引の内容をできる限り記載している『網羅型』がおすすめです。
『抽出型』のテキストは出題頻度や重要度が低い内容について記載されていないことがあるからです。
『網羅型』のテキストなら「絶対にこのテキストに記載されてる」という安心感から勉強に集中できます。
しかし、網羅型のテキストは、何もかも記載されているため『調べたい内容がどこかに載っているか見つけにくい』というデメリットもあります。
そうならないために、網羅型のテキストは調べ物がすぐ探し出せるように、索引が充実しているものを選びます。
私のおすすめは中央法規出版の『【完全攻略】医薬品「登録販売者試験」合格テキスト 2023年版』です。
このテキストは、網羅型のテキストのデメリットである『調べたい内容がどこかに載っているか見つけにくいと』ということがないように、索引だけで3種類もあるというこだわり方です。
わからない内容の調べ物に、時間をかけないように受験者への配慮がうかがえます。
それでも不安な人や予算に余裕があるなら、サブテキストとして『抽出型』や『特化型』のテキストを使うと良いでしょう。
3ヶ月【16週間】で登録販売者試験合格を目指す『3ステップ勉強法』
ここでは、短期間で合格する勉強方法を『3ステップ勉強法』と呼びます。
短期間の勉強で合格するコツは、なるべく『調べ物』に取られる時間を少なくすることです。
勉強をするために確保した時間は、意識して正しい内容を覚える事に使います。
3ステップ勉強法の勉強手順
解説が詳しく載った過去問集を準備したら具体的な勉強方法にはいります。
過去問集の購入を迷っている人は、とりあえず三幸カレッジの過去問解説ページを代用として使うのも良いと思います。
2023年の過去問解説を閲覧するにはLINEの無料登録が必要ですが、LINEで配信される内容は最新の情報が届くので、周りに聞く人がいない独学で勉強している人にとっては、とても助かる内容となっています。
問題を読んですぐに解答・解説を見ることの有効性が体感できると思います。
ステップ1.問題と解説を読む
始めは問題を解かず、過去問集と解答・解説集を並べて開いておき、読み物を読むように1問ずつ問題を読んですぐ解答・解説を読みます。
意外と読み物として読んでみると「まぁそうだよね」と思える問題ががかなりあるはずです。
ステップ2.少し考えてから解説を読む
次の段階でもいきなり問題を解かず、1問ずつ過去問を読んで自分なりの答えを少し考えて、解答・解説を確認します。
1度読んでいるので、簡単に正答できる問題と、覚えたつもりだったのに意外と覚えていない問題があると思います。
もう1度、解説を読みながらしっかりと覚えるつもりで読みます。
ステップ3.何も見ずに解いてみる
ここで初めて、過去問を章ごとに20問通して解いて採点します。
正答できた部分は軽く見返す程度でかまいません、間違えた箇所のみ改めて解説を読みしっかりと覚えます。
この段階で何度も同じ内容を間違えたり、覚えられないと感じたりする部分は『苦手ノート』としてノートにまとめます。
ステップ3を何度も繰り返し各章の7割以上が正答出来ることを目指します。
始めから問題と解答・解説を読んでいくわけですからかなりの速度で過去問を進めて行けるはずです
最低でも3ブロック、できれば全ブロック分この方法で勉強します。
目標は先に出したザックリ目標の96点以上、何度も同じ問題を解いているわけでから、できれば100点は取れるようにしておきたいです。
何度も同じ問題を解いているため、正答の番号だけを覚えてしまうことのないように注意してください。
なぜその答になるのか、他人に説明出来るようなイメージで正しい答えを覚えていきます。
そこまでできるようになれば、本試験で初見の問題でも十分合格点を取れるようになるはずです。
3ヶ月【16週】で登録販売者試験を合格するための勉強スケジュール
ここでは、これまで解説してきた勉強方法をもとに、具体的に3ヶ月で登録販売者試験合格を目指す勉強のスケジュールを考えてみました。
自分の試験までのスケジュールと照らし合わせて参考にしてください。
【第1週】 テキストに目を通す
最初に1週間かけてテキストに目を通します。
目を通す程度でじっくり読んで内容を覚える必要はありません。
ここでテキストに目を通すのは、用語になれるためや、後で調べる時に何がどこに書いてあったか把握するためです。
特に図や表は後で見返す機会があると思うので、だいたいの場所を覚えて置きましょう。
使用するテキストが索引のしっかりしたものなら、2日ぐらいでパラパラと目を通すだけでも良いです。
なぜなら、索引がしっかりしているテキストなら後で調べる時に索引を使ってすぐにどこに書いてあるか見つけられるからです。
その分、前倒しで過去問を解く勉強に入ってしまったほうが先のスケジュールが楽になります。
【第2~4週間目】3ステップ勉強法で過去問を章ごとに解く
テキストに目を通し終えたら、いよいよ過去問を解いて勉強をすすめていきます。
過去問は7日間をワンセットにして、3ステップ法を使って各章ごとに勉強していきます。
勉強する過去問のブロック選ぶ
まずは勉強する過去問を3箇所のブロックから選びます、1つは自分が受験するブロックから選び、残り2箇所は自由に選んでOKです。
2023年の過去問でおすすめのブロックは下記の通りです。
ブロック | 解説 |
①関東・甲信越ブロック | 素直で何度も出題されたような頻出問題が多い。 |
②北海道・東北ブロック | 3章で生薬・漢方薬が多数出題されるが全体の難易度は低い、生薬・漢方薬をしっかり解いて苦手意識をなくす。 |
③九州・沖縄ブロック | 全体の難易度は普通、生薬・漢方薬がバランスよく出題されているので、練習にはちょうどよい。 |
④東海・北陸ブロック | 意外と難易度高め、3章は特に苦戦するかも。 |
⑤中国・四国ブロック | 3章の難易度が高い。とくに生薬のカンゾウ・マオウを問う問題が多く出題された。3章以外で点数を取れないと厳しい内容だった。 |
⑥首都圏ブロック | いつもの首都圏よりは難易度が低い。2章の副作用の勉強には良いかも。 |
⑦関西広域連合 | 令和5年は意外と難しかった、特にイジワル(?)な問題も出ているので、ある程度できなくても良いと割り切って勉強する。 |
⑧奈良県ブロック | 奈良県独自で試験問題を作っているので毎年出題傾向が似ている。地元が奈良県の人はしっかり過去問対策をする必要があるが、他県の受験者が勉強する優先順位は低いかも。 |
3ブロックは最低限の量です、できれば人は追加のブロックを入れて4・5ブロック分で勉強してください。
勉強は2→3→5→4→1章の順で勉強する
勉強するブロックが決まったら、過去問を120問一気に解いて勉強するのではなく、各章ごと20問ずつ勉強をしていきます。
章ごとに勉強を進めるのは各章ごとの特徴・出題傾向になれるためです。
勉強する章の順番は2→3→5→4→1章の順がおすすめです。
1章から順番に始めないのは1章の難易度が低すぎるからです。
1章の難易度を試験全体の難易度だと思ってゆっくり勉強をしていると、3章あたりで急に難しくなるため勉強を挫折しがちです。
2・3・5章はそれぞれが関連しているので、この順番で勉強をしていった方が全体の理解がしやすいと思います。
4章は薬事法規の章で、法律用語などがかなり独特な章となっています。
1章は他の章を勉強した後なら、総合的な復習のように感じると思います。
3ステップ勉強法:7日間の基本スケジュール
例として、2章を7日間で勉強する場合のスケジュール解説します。
勉強する過去問は以下の3ブロックとします。
①関東・甲信越ブロック
②北海道・東北ブロック
③九州・沖縄ブロック
始めの2日間はステップ1・2で章の傾向を理解します。
1日目:ステップ1の方法で2章を①→②→③と勉強する。
2日目:ステップ2の方法で2章を①→②→③と勉強する。
ここまでは「解く」というより「読む」といった感じになります、あまり時間はかけず2日間で終わらせます。
残りの5日間はステップ3でひたすらループして過去問を解く。
3~7日目:ステップ3の勉強方法で2章を①→②→③→①→②→③→①→②→③と何度もループするように繰り返し勉強する。
ループは最低3回以上繰り返すか、全てのブロックの過去問が20点満点取れるまで続けます。
途中で20点満点とれたブロックがあれば、そのブロックはループの対象から除外します。
5日間かからず全てのブロックが20点満点取れた場合は、その時点で次の勉強に進みます。
5日間で5回くりかえし解いても、どのブロックも20点取れなかった場合はどうしますか?
その場合は気にせず次の章の勉強に進みます。
満点をとれるまで勉強を続けると、1箇所で足踏みしてしまい、いつまでも次の勉強に進むことができません。
登録販売者試験合格のコツは広く浅く薄皮のように知識を積み重ねていくことです。
解けなくても良いので「初めてみた!」という問題をなるべく少なくすることが、合格への近道です。
満点を取れなくても気にせず次の勉強に進みましょう。
7日間のうち最初の2日間はステップ1・2の勉強でその章の問題を把握します。
残りの5日間で実際に過去問を解いて、間違えた問題をしっかり覚えます。
このやり方で、残りの3章~1章までをスケジュール通り第4週間目まで勉強します。
【第5週間目】
5週間目でここまで勉強してきた過去問の苦手問題を復習します。
何度解いても間違えたり、曖昧にしか覚えていないと感じる内容を、苦手ノートや暗記カードなどにして集中して覚えます。
【第6~8週間目】
6~8週間目は、残りの5~1章までをこ同じように3ステップ方法で勉強します。
【第9週目】
ここでも第5週目のように、5~1章の苦手問題を復習します。
【第10~14週間目】本番を想定して120問を解く
ここからは、本番の試験を想定して1問目~120問目まで通して解きます。
解き方としては、①→②→①→②→①→②と交互に120問ずつ繰り返し解いていきます。
繰り返す回数は、3ステップ法と同じく最低でも3回orザックリ目標の96点になるまで繰り返し解きます。
3回繰り返さなくても途中で目標の96点以上を取れたのなら、そのブロックはもう勉強せずに、次の新しいブロックの過去問を追加して解いていきます。
例:①→②→①(①の過去問をが2回めで96点以上取れた)→②→③(①の過去問のかわりに③ブロックのを追加)→②→③
3ステップ法と同じように、1週間かけて3回以上繰り返し解いても目標点数に届かない場合でも、気にぜず次のブロックに移ります。
すでに章ごとに解いている過去問のため、本来であれば目標点に達するまであまり時間がかからないはずです。
その場合は、スケジュールを気にせずにドンドン先へ進んでください。
逆に、時間がかかったり目標点に遠くおよばない場合は、慌てずにゆっくりとで良いので確実に理解しながら勉強を続けていきます。
5ブロック分の過去問が96点以上取れるようになっていれば、合格するための知識としては十分と言えるでしょう。
何度解いても80点前後です、それでも最後までスケジュール通り進んでしまって良いですか?
進んでしまって良いです。すでに説明しましたが、登録販売試験は浅く広く知識を積み重ねていったほうが合格に近づけます。
1箇所の過去問を何度も解いて120点満点にするよりも、80点前後の点数でも8ブロック分の過去問を解いておいたほうが、初見の問題を解いたときの正答率は高くなります。
なるべくたくさんの出題パターンを経験し、確実ではないが2択まで絞れる問題をたくさん作ったおいたほうが、本番の試験では合格に近づけます。
【第15~16週目】最後の2週間は自分のレベルに合わせて
最後の2週間は、腕試しのつもりでこれまで解いたことの無い過去問を解きます。
もし点数が悪くてもあまり落ち込まず「試験前に自分の新しい弱点を見つけられた」とポジティブに取らえましょう。
まだ十分時間はあります、落ち着いて間違えた問題を勉強しておけば必ず合格できます。
もしまだ自信がない人は、試験直前まで解いた過去問を再度見直しをしてもOKです。
このあたりになると、試験勉強意外に体調管理や試験当日の持ち物や交通機関の確認などにも注意をしておいたほうが良いです。
まとめ
ここまで、3ヶ月で合格するための勉強方法を説明してきました。
本当を言うと3ヶ月というよりも、試験に合格するための正しい勉強方法と、それに適した教材を使うことが重要です。
・正しい勉強勉強方法とは:過去問を繰り返し解いて、間違えた問題をなぜ間違えたか覚えること。
・適した教材とは:解説が詳しく記載された過去問集と、辞書のように使えるように索引がしっかりとした網羅型のテキスト。
正しい勉強方法と教材を使えば、3ヶ月より短い期間で合格レベルになれる人もいますし、勉強時間が思うように取れない人でも、効率の良い勉強方法で合格できるレベルに達することができます。
逆に、正しい勉強方法とそれに適した教材を使わないと、勉強期間が半年以上あっても合格するのは難しいでしょう。
この勉強方法を紹介すると「合格しただけでは意味がない」という方がいます。
30年間ドラックストアの店頭に立っている私からすると「合格できないのでは、どんな勉強も意味がない」と考えます。
登録販売者試験の合格はスタートラインに立つ権利を手にしたに過ぎません。
合格後こそ本当の登録販売者としての勉強が始まります。
まずが、何よりも合格だけを目指したください。