
ご多分に漏れず漢方薬が苦手です。

どの漢方薬も同じような解説で見分けが付きません。

お店の先輩に聞いたら漢方はテキトーに答えたけど合格できたって
だから漢方薬は捨て問題でけって~い!
はじめに結論を言いますが「漢方薬はしばり表現を覚えれば正答できる」です。
厚生労働省がは漢方薬を正しく選べる人に登録販売者になってほしいと考えています。
なぜならしばり表現ががわからないと店頭で漢方薬を選べないからです。
つまりしばり表現が出題内容として重要となってきています。
登録販売者試験で必ず皆さんが苦戦する漢方薬の問題。
少し前に合格した人の話を聞くと「漢方薬の問題はそんなに出ないからカンで適当に答えても合格できる」なんて話も聞きます。
ですが、ここ最近の過去問を解いてみればわかりますが漢方薬の問題がゴッソリと出題されます。
何年か前に合格した先輩の話をウッカリ真に受けると後悔しかありません。
ですから登録販売者試験合格を目指すのなら漢方薬の攻略は絶対に避けては通れないのです。
漢方薬の出題は増えている!
なぜこれほど出題頻度が増えたか?
それは国の考える国民の保健衛生上の方針によるものです。
健康人生100年時代と言われる昨今、国全体で医療費の圧迫を防ぐためにセルフメディケーションの推進を行っています。
このセルフメディケーションは「病気にかかったら薬を使って治す」のではなく「病気にかからない状況を作る」ことが重要と考えられています。
そのようなことから、対処療法薬を使い症状を抑えることが主眼になりがちな西洋薬ばかりではなく。
病気にかからない、または病気の根本を治すことが主眼と考える「漢方薬」がセルフメディケーションの最前線を担う登録販売者に必要な知識と考えられるようになったからです。
ですから登録販売者になるための試験では漢方薬の問題が多く出題されるようになったのです。

登録販売者の役割として、対処療法薬だけでなく漢方薬を紹介できる知識が必要と考えているのですね。
漢方薬は「しばり表現」が重要
私は漢方薬の問題は「しばり表現」さえ覚えれば9割は正答できると考えます。
ですが、漢方薬が苦手という人の勉強をみると『しばり表現』に重点をおいていない場合が多いです。
確かに少し以前の出題傾向ならしばり表現があいまいでもなんとかなったかもしれません。
ですが、ここ最近の漢方薬の出題傾向はしばり表現がわからないと正答できないものが出題されています。
なぜなら厚生労働省は登録販売者に対処療法薬だけでなく、積極的に漢方薬なども患者さんに提案してほしいと考えています。
しばり表現の知識がない登録販売者では、患者さんに効果が期待できる漢方薬を正しく提案できません。
ですから出題される問題も「しばり表現を理解して正しい漢方薬を選択できるか?」という部分を問うてきます。
以前のような漢方薬の特徴的なキーワード(例えばこしけ・渋り腹など)だけ覚えておけば正答できるような問題は少なくなってきています。

しばり表現がわからないと実務で薬を選べないわけか

だから試験でもその部分が出るのね

でもね、そもそも「しばり表現」ってのがよくわからないの
「しばり表現」ってなに?
確かに「しばり表現」という言葉自体がよくわからないので皆さん苦手だと考えてしまいがちです。
本来、漢方薬を選択するには漢方薬独自の考え方「証」や「気血水」などがから理解しなくてはなりません。
それでは一般消費者にわかりにくいため、「証」や「気血水」といったものを「しばり表現」としているのです。

もう一度言うね、その「しばり表現」ってのがわからの
現在の社会では薬の選び方が西洋薬主体の考え方になっているためしばり表現のイメージがしにくいと思います。
西洋薬だって「しばり表現」で選んでいる
どうしても「しばり表現」がイメージしにくいならば、多少強引ですが以下のような考え方をすると良いかもしれません。
実際には西洋薬にも「しばり表現」にあたる部分があり、それに沿って薬を選択していると考えて見ましょう。
例
・アセトアミノフェン
15歳未満の小児で顔が赤いが機嫌や食欲は問題ない胃腸が弱い者の頭痛・発熱・歯痛…
・イブプロフェン
15歳以上で胃腸に障害がなく出産予定日12週以内の妊婦で無い者の頭痛・発熱・歯痛…
各成分の出だし『年齢』の部分が漢方薬で言う「しばり表現」にあたると考えられます。
一般用医薬品の西洋薬では使用する人の体格について『年齢』ぐらいしか選択項目にしていないため「しばり表現が」とまで意識しないことがほとんどです。
ですが上記のアセトアミノフェンもイブプロフェンも効能効果は「頭痛・発熱・歯痛・・・」となっており効能効果だけではどちらを選択したらよいかわかりません。
ですから、この2つの鎮痛解熱剤を使い分けるとすれば「しばり表現」にあたる『年齢』が最大の選択項目となるはずです。

いつもの鎮痛剤も「しばり表現」で選んでると言えるわけね
同じ様に漢方薬を勉強していると効能効果がどれも同じようなことが書いてあり判断しにくいと感じます。
ですから上のアセトアミノフェンとイブプロフェンのように「しばり表現」の部分が一番判断しやすい部分になるわけです。
「しばり表現」が同じならキーワードで選択

でも、同じ「体力中程度以下で・・・」っていうのがいくつもある場合ありますよね。
そのとおりで、体力が同じ薬がいくつもある場合があります。
ここでもう一度、西洋薬の解熱鎮痛剤例を考えてみましょう。
例えばイブプロフェンもイソプロピルアンチピリンもアセチルサリチル酸も「しばり表現」である『年齢』は同じ15歳以上です。
ですがそれぞれ特徴的な部分があります。
・イブプロフェン 抗炎症作用あり、消化管の防御機能を低下
・イソプロピルアンチピリン 解熱・鎮痛効果は高い、消炎作用は弱い、ピリン系
・アセチルサリチル酸 胃腸障害を起こしやすい、血液を凝固させにくくする作用あり
これらのキーワードでどの薬か判断するはずです。
漢方薬も同じ様に同じ「体力中程度以下」でもそれぞれ特徴的なキーワードがあり(むくみ・尿もれ・かゆみなど)そこで何の薬か判断します。
実際の漢方薬で確認
実際の漢方薬を見てどのようになるか確認してみましょう。
下の表は泌尿器の問題で出題される漢方薬です、表では「しばり表現」の体力をカラーチャートにしてあります。
また、並び順も体力がある順に並べてあります。
私は漢方薬をこの色と上下関係で覚えるのが良いと考えます。
例えば泌尿器の問題で「体力中程度以上」と記述がある場合はその時点で『竜胆瀉肝湯』となります。
また「体力に関わらず」と合った場合は『猪苓湯』です。

そして「体力中程度以下」と合った場合に初めてそれ以外のキーワードを確認します。
「むくみ」→牛車腎気丸
「尿もれ」→八味地黄丸
「かゆみ」→六味丸
となります。

最悪「中程度以上」が竜胆で「関わらず」だったら猪苓って覚えておくだけでも良いか。

尿もれオジサンは「八味地黄丸」か・・・
漢方薬の解答の仕方
これまで漢方薬の「しばり表現」がいかに重要か解説してきました。
実際に漢方薬の問題の解答の手順は。
「何の薬の問題か?」→「しばり表現(体力)は何か?」→「判断できなければキーワードは何か?」
と確認して行き解答します。
上の泌尿器の問題であれば。
「泌尿器の問題」→「体力中程度以下」→「キーワード尿もれ」→「八味地黄丸」
となります。

やみくもに何もかも覚えるのではなく順番があるのか

「何の薬か」+「しばり(体力)」まででもかなりの問題が答えられるかも

今までは「何の薬か」+「キーワード」だったから覚えきれなかったのか
実際にはかなりの問題で「しばり表現」までで正答が選べる出題があります。
また、キーワードまですべて覚えなくても、一部の頻出問題のキーワードを覚えるだけでほとんど選択肢を絞り込む事ができるはずです。
漢方薬を店頭で選べるようになる
漢方薬が作られた時代は現代医療のような精密な検査方法がなかったため、その人の体の状態を確認するために経験的に血圧が高い人を「赤ら顔で・・・」や自律神経が不安定な人を「胃腸虚で・・・」と表現したと考えられます。
この「しばり表現」の部分がわからなくては試験に合格できたとしても店頭でお客様に正しい薬を選択することができません。
何よりも漢方薬だけでなく西洋薬でも、お客様の体のがどのような状態であるのかを聞き出すのはとても重要なことです。
店頭でお話をうかがい「この人は体力中程度以下かな」とか「緑内障の治療中なのか」など聞き出し、正しい薬を選択することが本来の登録販売者の役割だと考えます。
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